インフルエンザワクチンといえば、注射を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、新しい形のインフルエンザワクチン「フルミスト」は、鼻腔スプレーで接種が可能です【1】。注射が苦手な人や子どもたちにとって、針を使わないこのワクチンは画期的な方法です。
フルミストのメリット
フルミストは、弱毒化された生ウイルスワクチンで、鼻腔粘膜から直接免疫を刺激するのが特徴です【1】。そのため、局所免疫を高めるだけでなく、全身の免疫も強化されます。特に小児においては、従来のインフルエンザワクチンよりも高い発症予防効果が報告されており、2021-2022年の英国での研究では、2~17歳の小児で72%の有効性が確認されています【2】。
副作用と安全性
フルミストの副作用は、鼻水、鼻づまり、喉の痛みなど軽いものがほとんどで、重大な副作用は非常にまれです。ただし、ゼラチンアレルギーのある人には注意が必要です。フルミストにはゼラチンが安定剤として含まれているため、アレルギー反応のリスクがある場合は事前に医師と相談が必要です。
使いやすさと接種の流れ
フルミストは鼻腔にスプレーするだけで簡単に接種できます。そのため、特に小児や注射を恐れる人々にとってストレスフリーな選択肢です。投与の際には医療機関で鼻腔にスプレーするだけで完了し、短時間で終わるのが利点です。
アジアでの展望
フルミストはアメリカやヨーロッパでの使用が広く進んでいますが、アジアでの大規模なエビデンスはまだ限られています【3】。日本でも2023年に承認され、2024年から接種が開始されますが、アジア全体でのデータ収集と効果確認が今後の課題となるでしょう。
まとめ
フルミストは、注射が苦手な人にとって新たな希望となる鼻腔スプレー型インフルエンザワクチンです。特に子どもたちに対する高い有効性と使いやすさが評価されています。これからアジアでも広く普及し、インフルエンザ対策の新しい選択肢となることが期待されています。
参考文献
Rhorer J., Ambrose C. S., Dickinson S., et al. Efficacy of live attenuated influenza vaccine in children: a meta-analysis of nine randomized clinical trials. Vaccine. 2009.
Public Health England. The national flu immunisation programme 2021/22.
Grohskopf L. A., et al. Prevention and control of seasonal influenza with vaccines: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)—United States, 2018–19 influenza season. MMWR Recomm Rep. 2018.
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